シニアの豊かな暮らしを応援する情報番組「吉川美津子のくらサポラジオ」では、歌声広場よりみち、健康体操教室OlaOla;代表の前田明子さんにお話を伺いました。
江東区を拠点に健康体操教室・歌声広場 よりみち など介護予防イベントを運営し、歌を楽しみながら介護予防の要素を取り入れた体操などを企画されています。
施設の介護福祉士から介護予防の活動のためフリーに!
前田明子さんのこれまでの経歴をお伺いしました。
「約10年、介護福祉士として有料老人ホーム・認知症対応型デイサービスにて認知症のケアに携わってきました。施設での経験を通して、これからは介護予防に力を入れるべきだと、一念発起しフリーで活動を始めました。
全日本空手道連盟 公認二段を持っていて、日本スポーツ協会 スポーツ指導員も取得し、介護現場とスポーツ指導員の立場から、健康体操を発案しました。
介護予防に特化したプログラムを色々と取り入れながら、シニアの方達が元気で楽しく過ごせるイベントや、認知症予防セミナーとかエンディングの書き方のセミナーなどさまざまな活動をしています。」
介護予防のための健康体操と歌声広場の活動について
近年注目されている介護予防に力を入れることになったきっかけについて伺いました。
「施設にいると、色々な制限が出てきます。私だけが『こうしたい!』ということがあっても、中々実現するのは難しいですよね。その中で、自分で思うようにやるのにはどうしたらいいのかと考えて、介護予防の活動をしようと思いました。
最初に始めたのは健康体操です。
私が施設でイベントの司会をしているときに、今一緒に活動しているプロのアコーディオン・ハーモニカ奏者の中西元木さんと知り合いました。
彼は介護予防のための健康体操をやりたいと考えていて、その時司会をしていた私に、『一緒にやりませんか』と声をかけてくれて、一緒に活動することになったんです。
その後、歌声広場の活動も開始しました。
歌声広場には『どうせやるなら歌うだけでは終わらない』というキャッチコピーがついています。歌うだけではなく、私の脳トレ体操や体操を取り入れたり、プロの中西さんハーモニカの演奏を聴いていただいたり、色々なプログラムを作っています。
定期公演は江東区内で、東大島文化センターや亀戸カメリアプラザなどで月に1回開催しています。
他にも、出張の依頼があり、高齢者施設や自治会、セレモニーホールのイベントなどに呼んでいただいております。」
介護事業所内のレクレーションの現状
現在、介護事業所の中で行うレクレーションや体操などは、事業所内部の方やボランティアの方が行っていることが多いです。
今後は、前田さんのような専門的な介護予防、認知症予防が必要不可欠だと思われます。
「介護業界では事業所内部の方やボランティアの方がレクレーションをすることが当たり前になっています。
私が活動を立ち上げた5,6年くらい前ですと、『お金かかるんですか?!』と聞かれることがとても多かったです。
そんな時は、『1回試しに使ってください!絶対満足いただける内容です。ボランティアの方とプロの違いを感じていただきたい』とお話しします。
そうして、現在では活動の場が増えてきています。」
プロの行うレクレーションとは?
シニアの方がただ聞いているだけになってしまうレクレーションではなく、どういう時間なのか?何のためなのか?が明確になっているプロのレクレーションはボランティアの方のそれとは大きく異なります。
「以前、特養で敬老イベントをやらせて頂いた時に、ずっと顔を下に向けて中西のハーモニカの演奏を聞いていた方が、突然ふっと顔をあげてニッコリ笑って『ねーねーねー』と声かけてくれたことがあります。
ハーモニカの音ってすごく懐かしくて、多分昔を思い出されたのではないでしょうか。
そこから、目がキラキラ輝いて、ずっと中西を追いかけていました。
これぞ認知症ケアなんだ!と、スタッフの方と実感しました。
そういったことがあり、また来年来てくださいと声をかけていただくことになりました。」
よりよい活動のために取り入れていること
「活動を始めた時は、見よう見まねでした。大手の歌声喫茶がどんなことやっているのか見学に行きました。ですが、『これは私がやりたいこととは違う』と思ったんです。
そこで、独自に歌声喫茶の活動にいろいろなものを取り入れていくことにしました。
今は、昔の映像を取り入れています。
たとえば、これは昭和30何年の歌を歌い、昭和30何年に起こったことや自分に起こったことを映像で見せます。
そうすると、『私結婚したばっかりだったのよ、この時』といった会話がはずみ、歌う時にはみんな回想して泣いている。なんてこともあります。」
前田さんはビジネスとして成立している。その仕組みを作られたことが素晴らしいです。
思いはあっても、ビジネスとして成功するまでに『やっぱりダメだな』と辞めてしまう人が多い中で、です。
人間の共通言語である歌を通しての介護予防活
「歌声広場や健康体操はツールです。歌も体操も。
『活動に行きたい』となれば、女性でしたらお洒落して行くでしょう。
男性も、身なりを整えてから行きます。
出かけるきっかけ、出かける楽しみ。
大好きな歌を歌うことや体を動かすことを通じて、色々な方達と出会っていただく。
そこから会話が盛り上がって、『じゃあ帰りはお茶して帰ろう』『次回は一緒に来よう』となる。これが、介護予防だと考えています。」
脳トレ体操は家で練習しない!
身近な介護予防・認知症予防の考え方捉え方というのはとても大切です。
難しく考えず、心を前向きに働かせる。体を適度に動かす。
という健康・健全な状態を継続するということが、一番の介護予防対策です。
「活動に参加した皆さんに『私がしている体操は、こういうことにいいんですよ』と説明しても、絶対に家でやらないです。
いいんです、それで!
私のところに来てもらった時に、笑ってできればいいんです。
知識を知っているか知らないか、何かの時に『あー前田さんが、歩くときはかかとから歩けと言っていたな』と思い出していただくことが重要です。
私の脳トレは絶対練習させません。
出来るようになったら脳トレじゃないので。
『絶対に家でやらないでください。ここに来てみんなで笑ってやりましょう!』がモットーです。
というのも、脳トレ体操は、わざと出来ないように作られているんです。
人間の仕組みの逆にいっているので。それを一人で家で練習してもストレスがたまるだけです。
脳トレできない人の方が脳が活性する。決して練習はしなくていい。
発想の転換です。
頭も気持ちも柔らかく!」
今後の展望について
今のご活動を継続されながら、今後について何か方向性がおありですか?
「現在は、関東近県で活動させていただいています。
歌声広場に関しては、プログラムも確立しているので、全国で活動したい方がいらっしゃればノウハウをお教えできます。
歌声広場よりみち、たとえば大阪支部や九州支部など。
どんどん作って全国展開したいと考えています。」
歌声広場、健康体体操OlaOla;代表の前田明子さんのラジオ出演は動画でも配信しています。ぜひご覧ください。
吉川美津子のくらサポラジオ ゲスト: 前田明子様 第68回2019.1.13
歌声広場よりみち、健康体体操OlaOla代表 前田明子さんの活動について詳しくご覧になりたい方は、シニアの暮らし応援ポータルサイト「楽々くらサポ®︎」サイト内「歌声広場 よりみち」事業者ページをご覧ください。