日本国内と海外の温泉・名湯をめぐる温泉の専門家 北出恭子さん シニアに人気の温泉の魅力とオススメの活用方法とは

年間300か所以上の日本国内・海外の温泉を巡り、その魅力を発信している温泉の専門家 北出恭子さん。運営しているサイト「北出温泉」では、オススメの温泉の泉質や日帰り・宿泊の施設のデータまで紹介されています。

シニアの豊かな暮らしを応援する情報番組「吉川美津子のくらサポラジオ」では、温泉家スプリングラボ合同会社CEO北出恭子さんをゲストにお迎えしました。

高齢の方にぜひ知ってほしい、ヒートショックなどの予防や正しい入浴法など「入浴のシートベルト」についてもお伺いしました。

温泉の専門家「温泉家」

最初に、温泉の専門家「温泉家」としての現在の活動について教えていただきました。

 

「趣味を兼ねた仕事として、年間300か所以上の国内と海外の温泉を巡っています。現在4年目ですので1500か所以上の国内海外の温泉に行きました。

12個の温泉関係の資格を持っている知識と経験をもとに、日本や海外の温泉の魅力を伝えるお仕事。それが『温泉家』です。

1日に1か所ではなく、研究しながら多い時は1日10か所回ったりします。
本当はダメなんですが、私は仕事として自己責任で10か所から、多い時は本当に18か所回る時も。

一般のお客さんとしてお金を払って、滞在時間はだいたい20分くらいです。
その20分間で、湯の調査をしてデータを取る。
そして次に進む。というのを繰り返します。

仕事という感覚ではなく、趣味がたまたま仕事になっているという感じです。

温泉に行けるのが嬉しくてたまらないですね。」

温泉家になったきっかけ

仕事として温泉家になったきっかけを伺いました。

 

「きっかけは温泉ソムリエという資格を取ったことです。

もともと最初は、温泉はどれも一緒だと思っていて興味もありませんでした。
それがこの温泉ソムリエの資格を取ってから『なんと温泉は奥深いんだろう!』と知って、どんどん探求したくなりました。

そこからは、もう寝る間を惜しんで、貯金を切り崩して温泉の湯めぐりの旅にでました。

そうして温泉の資格を今では12個取得し、皆さんに温泉の魅力をお伝えしています。」

 

それが仕事になるというのがすごいですよね。

 

「自分でもビックリしてます。

仕事にしようと思ったわけではなくて、温泉の魅力を発信しているうちに、ラジオに呼んで頂いたり、本を出版しませんか?とか公演で喋ってくださいとお誘いいただき、それが仕事になっていきました。」

 

温泉イメージ

※温泉イメージ

本の出版について

著書「九州絶品温泉、ドコ行こ?―温泉天国 九州美肌の湯」について伺いました。

 

「当時住んでいた九州で第1冊目の著書を出版させていただきました。

表紙の温泉は、鹿児島の指宿温泉の山川にある玉手箱温泉という温泉です。
全国の絶景温泉では必ずランクインしてくる人気の温泉。今流行りのインフィニティ温泉といって、水面と海や空が全部無限につながって見えるような温泉です。
絶景のとても気持ちのいいところです。」

 

温泉の感覚データなどが記載されています。
その中で気になったデータ『フレッシュ度』について伺いました。

 

「温泉にも鮮度というものがあります。
食べ物も採れたてが一番新鮮ですよね。私たち人間もそうですが、酸素の中にいるから私たちは老化していくわけです。

温泉も酸素と結合することによって、劣化して老いていくエイジングが進みます。お刺身で例えるとスーパーに並んでいるお刺身です。
それに対して、漁師さんが釣ったばかりの魚のような温泉が『獲れたての温泉』ということになります。

温泉の新鮮度は科学的に測ることができるのですが、それを一般の方にもわかりやすいように『フレッシュ度』という言葉を使って5段階で評価しています。

源泉かけ流しはとてもフレッシュというわけです。

食品などでは『オーガニック』と表現される、人工的に加工していない温泉が一番私たちの健康や肌にいいのです。

雨が地中に降りていきマグマで温められた後、断層を経由して出てくるのが温泉水。
大体500年から100年前の雨が温泉水として出てきて、今私たちが入れる。それくらいの周期があります。

海水や水道水やミネラルウォーターといったいろいろな水の中で、唯一温泉水だけが還元力を持っています。それ以外はみんな酸化物質。

エイジングをストップできる力を持った唯一の水である温泉水の中でも、新鮮な方が効果が高いので、温泉のデータとして『フレッシュ度』の評価を記載しています。」

人間は温泉から生まれた。だから無条件に気持ちいい

「人間は海から生まれたと、よく聞きますよね。
でも、海だけでは私たちは生まれなかったんです。

海の底から出ている300度とか400度の熱水。その中に含まれるミネラルや有機物に私たちの生物の起源があるのです。
温泉水が無ければ、私たち人類も、生物自体が存在しなかったと言われています。

だから、温泉に入ると無条件に気持ちいい。体にいいと思いますし、健康にいいんだと思います。」

温泉家 北出恭子が選ぶ温泉とは

これだけたくさんの温泉にいらっしゃって、紹介している北出恭子さん。
ご自身の好みの温泉の傾向はあるのでしょうか?

 

「私が温泉を選ぶ際は、温泉水だけでなく『環境』で選びます。

例えば、『よく眠れない』とか『最近何かイライラするストレスが溜まっている』と感じたら、海辺の温泉に行きます。『最近やる気が出ない』『活力が欲しい』という時は山の温泉に行く。

これは、効果があるということが立証されているものなんです。

海というのは『海のバカヤロー!』と叫びたくなる、全部を包み込んでデトックスして流してくれる存在です。逆に山に行くと『ヤッホー』と叫び元気になります。
そこで自分のメンタルで温泉を選ぶ、温泉地を選ぶということをしています。」

 

なるほど!そう言われてみると、なんかすごく腑に落ちました。

 

シニアと正しい入浴法

「私たちは『温泉水から生まれている』と言っても過言ではないぐらいなものなので、その自然の恵みに身体を浸すというのは、とても気持ちのいい行為だと思います。泉質によって効果効能は違いますし、体にいいものだと思います。

しかし、入浴法によって事故も起こります。

交通死亡事故がエアバックやシートベルトの効果で年々減っているのに対して、入浴死亡事故は年々増え続けて、交通事故の5倍以上19000人以上の方が毎年お亡くなりになっています。

正しい入浴法でないことが原因で起こる事故を防ぐために、入浴における『シートベルト』を私たちが伝えていかなければならないと思っています。

高齢の方が入浴時に亡くなる原因というのが、寒い時期の寒暖の差『ヒートショック』なんです。

お部屋は暖かい、脱衣所は寒い、お風呂場も寒い、お湯は熱い、お風呂から出たらまた寒い。という、熱さと寒さの中で血圧の急上昇が起こります。

そこで、くも膜下出血になったり、血栓が詰まったり。意識障害でお風呂の中で寝てしまってそのまま溺死とか。そうことも沢山起こってるんです。

 

それを食い止めるに、まずは寒暖差をなくす。そのために脱衣所を温めたり、シャワーを使ってお風呂場を温めたり、お湯をためる際に湯船の蓋を開けておき蒸気でお風呂場を温めます。

湯の温度は寒い時期でも41度以下にしてください。42度以上はとっても危険です。入浴リスクがかなり上がります。

最期に、水をしっかり取っていただくこと。水分が足りないと血液の粘度というかドロドロしてしまいますので、入浴の効果も下がります。なので、お風呂に入る前にはお水を1杯必ず飲みます。そして、お風呂から出た後にもしっかりお水を補給していただくことが大切です。

 

この入浴法を実施していただくことで、少しでも入浴中の事故が減ってくれればなあと願っています。

温泉もお風呂も正しく入ることがとても大事だと思います。

とくにこれからは、ご高齢の方々に健康づくりのためにもっと温泉を活用して頂きたいです。」

温泉の一番の効果とは

「温泉の一番の効果は、その成分や熱とか水圧とかそんなことではなくて、一番は心理状態だと思います。

転地効果といって、普段いる場所からまったく違う自然環境が恵まれた場所に身を置くっていうだけでも、自律神経も整いますし、五感を刺激していろいろな体の調整をしてくれるんですね。

なので、温泉じゃなくてもいい。

今いる場所からちょっと離れた自然環境のいい場所へ。
山登りでも散歩するだけでもいいので、転地効果をうまく利用して健康増進をして頂きたいなあと思いますね。

そこに更に温泉があればいいですね!」

まとめ

温泉レポーターや、執筆、研究、情報発信など、温泉の専門家として活躍していらっしゃる北出恭子さん。シニアに人気の温泉の魅力と、その活用方法を教えていただきました。

くらサポラジオでの様子

温泉家スプリングラボ合同会社CEO北出恭子さんのラジオ出演の様子は動画でも配信しています。ぜひご覧ください。
吉川美津子のくらサポラジオ ゲスト:北出恭子様 第70回2019.2.3

北出恭子さんの発信する「北出温泉」については、シニアの暮らし応援ポータルサイト「楽々くらサポ®︎」サイト内事業者ページをご覧ください。

川畑 誠志

日本福祉大学社会福祉学部卒業。社会福祉士。 20代から飲食チェーンの会社に勤務。35歳を機に福祉事業での起業を目指して、介護の現場に従事。新規社会福祉法人の設立に参画し理事に就任。特別養護老人ホームなど5事業所の統括施設長として新規開設に携わる。地域で頑張る小さな介護事業所を支えたいとの思いから独立開業。福祉事業コンサルとして、支援を続けている。 http://kurashi-lab.co.jp/

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