今回からドラッカーの著書を参考に、占いの方法を当てはめて見ていきたいと思います。
(マネジメント編)
1、「企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである」
『マネジメント エッセンシャル版』P.15
会社の存在意義はそもそも何であるかを考えると、「利益」であるように思える。しかし、それでは事業の在り方が見えてこず、利益優先主義にのみ傾倒してしまう。真に重要なのは社会のニーズを満足させ、「顧客を創造する」ことにある。
2、「企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである」
『マネジメント エッセンシャル版』P.16
真のマーケティングとは何かを考えてみると、それは「顧客のニーズを満たすこと」であると分かる。なぜなら、売り込みを伴わずして自然とモノ・サービスが売れるようになるからである。しかし、同じサービスの提供だけでは「時代遅れ」となり停滞が訪れる。そこで必要になるのが「イノベーション」、つまり新しい価値を提供することなのである。
(NG)
占いの際に顧客を不安にさせるメッセージを投げかける(例えば、「明日事故にあう」)ことで、依存させる(「この○○を買えば大丈夫」のように)。その結果顧客が、依存心から救いを求め必要以上のモノ・サービスを購入することになる。
↓
鑑定者・顧客の狭い世界だけでお金が回り、それ以上の価値(満足)を生まない。また、鑑定者として技術が向上しないため、サービスの質が上がらない(イノベーションの失敗)。
(Good)
なるべくポジティブなメッセージを投げかけ、顧客の満足を最優先にし、長所を引き出す。満足した結果、顧客の人生が好転し占いに頼る必要がなくなる。
↓
鑑定した顧客自身は満足するため来店することがなくなるかもしれないが、顧客の口コミでさらに多くの顧客が来店することになる(満足以上の価値)。また、占いを用いて新しい価値を提供できたことにより鑑定者としての技術が向上する(イノベーションの成功)。
3、「人を管理する能力…を学ぶことはできる。…だがそれだけでは十分ではない。根本的な資質が必要である。真摯さである」
『マネジメント エッセンシャル版』P.130
マネージャーとは「成果に対して責任を持つ人」のことである。経営者だけでなく、部署のリーダーなどもマネージャーと言えよう。マネージャーの仕事は大きく分けて二つ。一つ目は生産性の向上のために組織を導くこと、二つ目は、リスクを最小限にとどめること。そんなマネージャーに必要な資質は「真摯さ」、つまり「誠実でモラルある行動理念を持つ」ということである。
(NG)
霊的なものが(見えないのに)「見える」と言ったり、曖昧な感性や直感に頼った鑑定により顧客の関心を買った占いビジネスを展開する。
↓
一時的な生産性は向上するかもしれないが、組織(鑑定者)が大きくなればなるほど真実を暴露されるリスクを負う(ハイリスク)。結果、「真摯さ」を欠いた経営方針であると判断される。
(Good)
霊的なものは「見えない」と正直に伝え、それを補うべく占いの手法や勉強、顧客の満足にこだわり、顧客の人生をより良い方向に導く。
↓
「占い師」としての資質には期待されないかもしれないが、「鑑定士」もしくは「人生のコンサルタント」として組織(鑑定者)が評価される(ローリスク)。結果、「真摯」な経営方針であると判断される。
つづく。
(脇田尚揮/ミンストレールグループ代表理事)