高齢者におすすめの体操スロートレーニング 運動で筋肉を鍛えて転倒・ロコモ予防

一度きりの人生、できるだけ健康寿命を長くしてできる限り楽しみたい!
それは多くの方々共通の願いではないでしょうか。

 

介護保険サービスを利用される方も、その思いは同じです。日本の平均寿命はここ60年で約30歳延びました。
健康でさえいれば人生を楽しめる時間はたっぷりとありますね。

 

ではどうやって健康をキープしていけば良いのでしょうか?

一つの答えは寝たきりにならないよう努力することです。

筋力アップトレーニングの必要性

運動器障害や衰えによって、歩行困難など要介護になるリスクが高まる状態である事をロコモティブシンドロームと言い、これにに陥らないようにするには、やはり筋トレが有効な手段となってきます。

 

では筋トレで筋力アップの限界年齢は何歳なのでしょうか。
答えは筋トレに手遅れはありません!思い立ったが吉日です。

 

高齢者や介護保険サービス利用者の中には
「いまさら筋トレをスタートしても遅いのでは?もう筋肉はつかないだろう」などとあきらめの気持ちを持っている方が少なくありません。
その深層心理が、介護施設などでのトレーニング類のリハビリを億劫にさせている一要因となっている方も、少なくないのではないでしょうか。

 

この筋トレ効果年齢限定解除の事実を、介護施設や中高年のロコモ予防の現場でもっと広く知らしめてほしいと思っています。
以前、高齢で有名になられた金さん銀さんが、筋トレの成果で100歳超えて自力で歩けるようになったのは、有名な話です。

スロートレーニングのすすめ

とはいってもアスリートやボディービルダーのように、ガンガン追い込むようなトレーニングはできません。

 

そこで今回ご紹介したいのが「スロートレーニング」です。
「スロートレ-ニング」であれば週に2~3回の頻度で、1回のトレーニング時間は約15分で効果的に筋肉を鍛えることができます。
今の生活で、ジムにも通わずもちろん無料でロコモティブシンドローム予防が可能なのである。

 

ではスロートレーニングとはどのようなトレーニングなのか解説していきます。

 

一般的に筋肉を効率よく鍛えていこうと思えば、最大筋力の80%の負荷で8回繰り返すことを1セット、それを3セット繰り返す必要があります。

 

これは想像しただけでロコモ予防というには過剰負荷となります。
できることなら、もっと軽い負荷でしっかり効果を得たいので、スロトレは負荷を最大筋力の50%とします。
これは30~35回くらい繰り返すことができる比較的軽い負荷です。

 

この負荷でポイントとなってくるのが、筋肉に一度の動きで「ゆっくりと長く負荷をかけること」です。
これはターゲットとなる筋肉に、ある一定の血流制限をかけることが目的です。

 

この結果、乳酸に代表される筋肉運動による代謝物質がたまり、これが脳に伝わったとき「激しい運動をした」という誤認をさせることができるのです。
その結果ストレス反応として、負荷以上の筋トレ効果を得ることができるというわけです。

 

ではどのようにして血流制限をかけるかですが、筋トレの代表格の一つスクワットを例に説明します。

 

スクワットとは立ったりしゃがんだりを繰り返すことで、足腰の筋肉を鍛えるトレーニングです。
スロトレスクワットでは、しゃがむときは膝の角度を90°~100°めいっぱいにしゃがみこみません。

そして立ち上がるときは全には膝を伸ばし切らずストップする。
イメージとすれば「しゃがみ切らない、立ち上がりきらない」といえばご理解いただけると思います。

 

要するにトレーニング中は筋肉に力が入りっぱなし、これが血流制限を生むのです。
1セットの回数は5~10回が限界だと思いますが、ご自身で鍛えている筋肉が熱くなってくる感覚を自覚できる事が大切です。

 

スロトレではこのように動かす関節を「完全に伸ばし切らない、曲げ切らない」が基本動作です。
この関節にロックをかけないメリットは血流制限だけだはなく、関節へのストレスを軽減し痛めにくくするという利点もあります。

 

またスロートレーニングの名のとおり動かすスピードはとにかくスロー。
曲げ動作に4~5秒、伸ばし動作に同じく4~5秒が基本スピードとなります。

 

そして最後に呼吸。しゃがむまたは下ろす動作で息を吐き、立ち上がるまたは持ち上げる動作で息を吐きましょう。
決して勢いよく吐くなどして反動をつけないように気をつけて下さい。

 

高血圧の方や動脈硬化傾向の方は特に注意が必要です。
ゆっくりじっくり筋肉に負荷をかけてあげましょう。
呼吸一つでトレーニングが安全にできて、効果も変わってくることを知っておいて下さい。

 

トレーニングによる体脂肪減少効果も期待される方は、午前中のスロトレがおすすめです。
スロトレの脳への作用は成長ホルモンの分泌を促します。

 

成長ホルモンは別名「脂肪分解ホルモン」と呼ばれ、一度分泌されると代謝の高い状態が5~6時間継続されます。
同じように日中を過ごしても脂肪が代謝されやすい状態が継続されることになるのです。
ぜひ試してみて下さい。

最後に

転倒予防、介護予防、ロコモ予防、これらを一度にかなえてくれるスロトレを、ぜひ日常生活に取り入れていただき、健康寿命を延ばして充実した人生を送っていただけたらと願っております。

株式会社アスリートステーション代表取締役 元ヤクルトスワローズ捕手 昭和47年生まれ 香川県立三本松高校時代はあと1勝で甲子園だったが出場ならず。 その後、地元のJR四国野球部に入部。その後ドラフト4位でヤクルトへ。 退団後は、柔道整復師と鍼灸師の資格を取得し、スポーツトレーナーに。 四国アイランドリーグの創設に参画し、香川オリーブガイナーズの初代トレーナー。 現在は、鍼灸整骨院を経営し数多くのスポーツ選手の体作りに関わる傍ら、香川大学野球部監督、ガイナーズやJR四国の外部トレーナー、NHK高校野球解説など、地元野球界に貢献している。

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