(マーケティング編)
1、「事業の機会を体系的に発見し、それを開拓する企業だけが、繁栄し成長する」
『創造する経営者』P.198
組織の発展のためには、ビジネスチャンスを見つけることが必要である。そのために取り組むべきテーマとして、
①事業の伸びを妨害している弱みとは何か。
②事業の売上げ・コスト構造を妨害しているものは何か。
③脅威と考えているものは何か。
があげられる。
このうち①は、会社のサイズや事業内容、生産スタイル、商品の内容などによる制約の事である。一般的にそれらは「弱み」になることが多い。しかし、その「弱み」を生む制約を打破することで、それら弱みは「強み」にもなりうる。裏を返せば、潜在的なチャンスは事業の制約や弱みの中に在るのである。
2、「あまりに多くの企業が慢性的なアンバランスの状態にある。そこに資源を使わされている」
『創造する経営者』P.209
続けて上記②についてである。事業経営においては、完全にバランスの取れた状態はあり得ない。しかし、それを黙認せず追究することが肝要である。これら売上げとコストのアンバランスの原因を突き止めることができれば、そこには新しいビジネスチャンスが潜んでいるからである。
3、「あらゆる関係者が起こりえないと知っていることこそ徹底的に検討しなければならない。起こりえないことが、自社にとって何かを起こすための大きな機会になる」
『創造する経営者』P.226
最後に③についてである。会社にとっての「脅威」は多くの人にとって歓迎されるべきものではないだろう。これら脅威はさまざまな「変化」によって訪れる。しかし、ビジネスチャンスはこの「脅威」のすぐそばにあると考えていいだろう。脅威の発見は、先入観や慣習、常識を覆し破壊することでもある。つまり、脅威を乗り越えた先には他者との差別化や自社だけの魅力をアピールできるヒントがあるのである。
(NG)
①営業をするのはマナー違反ということで、占い師は来た顧客だけ相手にすればよいという考えのもと、自分から営業には行かない。
↓
いつまで経っても新規顧客の開拓ができないままになる。
②費用対効果を考えず「1対1」の対面鑑定もしくは電話・メール鑑定など鑑定方法にこだわって対応する。
↓
単位時間あたりの売上げが低いまま、「労力多くして利益少なし」の経営スタイルに陥り易い。
③神秘性を堅持するため、自分の本名・素性を明かさず「占い師」という後ろ暗いないしは胡散臭いイメージを払拭しようとしない。
↓
自分の仕事に誇りをもてない。職業自体のイメージが向上しないまま、仕事を続けることになる。
(Good)
①自ら営業に行かずに占い師としての自分を宣伝できる媒体を開拓する。HP、地域情報誌の占いコーナーの監修、携帯アプリ、異業種交流会、テレビなどのメディアを活用する。
↓
より多くの顧客に占い師としての自分の存在を知ってもらえる。また知名度や人気が出ることにより、潜在的な顧客層を発掘できる。
②「1対1」の鑑定はあくまで基本として、出張鑑定やセミナー、書籍の出版など「1対多数」となるようなビジネスモデルを構築する。
↓
同じ労働時間における生産性の効率が良くなる。また、多くの顧客の前に出ることにより、自然な形で①のテーマを克服できる。
③「占い」というものがもともと持っている既存のマイナスイメージを払拭するために、敢えて本名・素性を明かすことで信頼・安心感を得る。また、異業種、他企業とコラボレーションをして、顧客に楽しんでもらえるようなサービスを提供するなど、日常生活に溶け込むような経営スタイルをとる。
↓
「占い師」としてではなく、一個人として信頼されるようになり、仕事の幅が広がる。また、イメージアップによりこれまでの占いの在り方を打破できるチャンスに恵まれやすくなる。
※ただし③においては、個人のプライバシーや事情もあるため、ある程度の仕事への情熱や覚悟が必要になる。
つづく。
(脇田尚揮/ミンストレールグループ代表理事)