今やブームとなりつつある終活、そもそも一体、なぜ終活はなぜ必要なのでしょうか。終活を行った場合とそうでなかった場合で何か違いは生じるのでしょうか。
終活とは何か
終活とは、狭義ではエンディングに向けた「緊急時の連絡先の確認」、「セレモニーの準備」、あるいは「相続の内容を決めておく」といったものが主流となっている向きがあります。
しかしながら、一方で、人間はこの世の中で生を受けた時から、確実にエンディングに向かって歩み始めるわけですから、もうすこし広い意味で、終活は「有限の生を最高にハッピーに生きるために、やっておいた方がいいことすべて」とも言えるかと思います。
そう考えますと、実はシニア世代だけが終活を行えば言いのではなくて、どの世代でも考えておくべき課題はあるように思われます。
そもそもなぜ終活は必要なのか
現在、日本が抱えている社会背景、一例として、超高齢化社会、核家族化、都市化というものが、家族のあり方を劇的に変えてきました。昔は終活という言葉を使わなくても、地域コミュニティの中で、エンディングというものは必ず意識され、その中で、「こういう時はこうするもの」といったイメージが共有されていました。
しかしながら、大きく変化した社会の中で、「年老いていく」とか「死期が近づく」というリアリティを、当事者あるいはそれを見守る人以外に実感できる機会が激減していきました。
よって、できれば回避したいと誰も願うエンディングに向かって行う諸々の準備は、後手に回すことが多くなったといえましょう。
そして、後手に回った課題や準備が山積したままとなり、最も大事な「人生のバトンリレー」が本当に行われないまま、問題がいきなり発生するいうことが多くなったように思われます。
つまり、何かしらの準備をしておかないと、「いきなり当事者」になってしまうということです。
そんな状況の中で、例えば仮にあなたが喪主になった場合に、故人の意向すらわからないわけですから、埋葬一つとっても、お寺の墓地のほうがいいのか、民間の墓地を購入したらいいのか、それすら分からず翻弄されてしまうのです。
終活を行わずに紛争が勃発した例
自身の親族も同じことが起こりました。
母方の祖父が20年ほど前に亡くなった時のことです。
祖父は大往生ではあったものの、自身が亡くなった後の財産については遺言書の作成は行いませんでした。
今から振り返ると、紛争が起きやすい家族関係にあったにもかかわらずです。
そういった中でいざ親族で話をしようとしても、遺産分割協議は進まないのはもちろん、大切な親族としての絆についても、完全に断ち切られたように感じられます。
遺言書とは
終活の中での一項目を占める相続、遺言の大切さについて少しふれておきます。
遺言書には、実は3種類の作成方法があります。「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つ、しかしながら、確実に争いごとを生じさせないようにするためには、「公正証書遺言」の作成がベストであると思われます。
自筆証書遺言に比して、確かに費用がかかるのですが、いざエンディングが起こった際には、親族同士のトラブルを最大限に防ぐことができ、大変役立ちます。
そもそもの家族のコミュニケーションは?
先ほど言いました通り、日本の家族をめぐる社会背景は大きく変わりました。
そんな中で、子が独立後の親子間のコミュニケーションはどれほどの頻度で行われているのでしょうか。
別に終活のためというわけではないのですが、半年に一度、あるいは年に一度の訪問や交流程度では、お互いが何を考えているのかを確認し合うことは難しいように思います。
これは私と実父の例ですが、実母の死去後は、毎週1回、特に義務とは定めずに、健康状態の確認も含めて電話をしていました。たった5分の何気ない会話であっても、双方にいろいろと気づきが生まれるものです。
そこから、人生をもっと輝かせるためにやっておいたほうがいいアイディア(例えば、「親族一同で年末に旅行をしよう!」など)が生まれてきました。
終活をしよう!と気張らなくても、できることはほんの日常生活の延長線上にある気がしております。
まとめ
★核家族化、都市化、超高齢化社会の到来により、近しい人のエンディングが日ごろから意識されないことが多く、いきなり当事者になる社会の中で、終活はもはや全世代必須の課題と言えましょう。
★介護、ライフプラン、遺言、話しづらいことも少しずつコミュニケーションをとっていくことで後悔と残課題は消せるばかりでなく、お互い意思がはっきり伝えられるうちに、満足いく解決策が見いだせる可能性があります。
★準備、必要な知識を得ていくことで命のバトンはきれいにつながります。送る方送られる方、双方の感謝の気持ちが増大します。そして、終活を通じて、命は有限であることを認めつつ、「今」がさらに輝きだし、一日一日を大切に生きられるようになります!