幸せな相続を行うために

2015年の税制改正により、相続税の課税対象となる人が大幅に増加しました。

『国税庁は15日、2015年に亡くなった約129万人のうち、財産が相続税の課税対象となったのは前年比83%増の約10万3千人だったと発表した。対象となったのは8.0%と同3.6ポイント高まった。課税割合は現行の課税方式となった1958年以降で過去最高となった。

 相続税は相続財産から基礎控除と呼ばれる非課税枠を差し引いて計算する。15年1月から基礎控除が「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から、「3000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられた。このため課税対象者の裾野が広がった。』

2016年12月15日の日本経済新聞より

全国で亡くなった方の8%について、相続税が発生しています。東京などの都心部では、この割合は一層高くなったと考えられます。

このような中、自分自身が生きているうちに相続対策を行いたいと考える人が増えています。
具体的に、何をすれば良いのでしょうか?
そもそも相続対策とはどのようなことを言うのでしょうか?

当コラムでは、「幸せな相続を行うために」と題して、「相続対策とは何か?」についてお話させていただきます。

相続対策とは?

相続対策とは、次の3つに分かれます。

相続税対策 「税務署に納める税金をどのようにして抑えるか」

争族対策 「遺族が相続財産を巡って争わないようにするために」

納税資金対策 「納税する資金をどのように準備するか」

それぞれ考えていきましょう。

相続税対策 「税務署に納める税金をどのようにして抑えるか」

できれば相続税を低く抑えて、家族に多くの財産を残したいものです。

相続税は、次の計算式で計算されます。(わかりやすくするため、シンプルにしています。)

① 財産 ▲ 債務 ▲ 基礎控除

② ①✕税率

まずは、財産、債務がどれくらいあり、基礎控除がいくらなのかを確認することから始めましょう。

財産の評価額は、正確には相続税計算上のルールに基づいて計算しますが、ここでは「売ったらいくらぐらいになるのか?」で計算すれば十分です。

債務は、例えば借金の残高がそのまま債務額になります。
基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)については、法定相続人の数を確認して計算します。

法定相続人については、次のサイトがわかりやすいでしょう。
SMBC日興証券 http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ho/J0204.html

 

これで、①の計算ができました。

この金額が0円以下になるのであれば、相続税は発生しませんので、相続税対策は不要です。そもそも、相続税の申告そのものが不要になります。

①の金額がプラスになる場合には、対策を検討します。
ポイントは財産(または、その評価額)をいかに下げられるか、です。
生前贈与や、更地に賃貸不動産を建てる方法、生命保険の利用など、様々な方法があります。
詳細は割愛させていただきますが、何かしらの対策はありますので必ず検討しましょう。

争族対策 「遺族が相続財産を巡って争わないようにするために」

相続財産を巡って遺族が争うことを“争族”などといいますが、生前に争族対策まで準備しましょう。いくら財産があったとしても、争いの種になっては仕方がありません。

有効な対策は、やはり遺言でしょう。誰もが100%納得する財産分割はありませんが、遺言があれば不要な争いを避けることができます。

遺言にはいくつか方式がありますが、公証役場で作成する、公正証書遺言をおすすめします。

納税資金対策 「納税する資金をどのように準備するか」

相続財産が現預金の場合には、問題はありません。その現預金で相続税を納付することができるからです。問題になるのは、相続財産が不動産のみで、その不動産を売却することが難しい場合です。

この場合には、予想される納税資金を生前贈与や生命保険などを利用して、準備しておく必要があります。

まとめ

・相続対策には、相続税対策、争族対策、納税資金対策の3つの対策がある。

・それぞれ生前に準備できることがある。

適正な相続対策を行うことで、「幸せな相続」が可能になります。残される家族のために、準備しておきましょう。

畠中 伸治

畠中 伸治(はたけなか しんじ) 畠中税理士事務所 代表税理士。 慶應義塾大学を卒業後、主にスキーインストラクターとして働き、31才で思い立って税理士を目指す。税理士事務所に勤務後、2016年1月開業。「幸せな相続」をテーマに活動中。

畠中 伸治の最新記事