私たちは誰もが、いつか必ず「最期の時」を迎えます。
その時を、どこで、誰と、どんな風に迎えたいですか?
いま私たちが「当たり前」と思っている事も、時代とともに変化し続けています。
現代の「最後の時を取り巻く事情」をシリーズでお伝えします。
「最後の時」は、どこで迎えるのが「当たり前」?
あなたは、どこで迎えるのが「当たり前」だと思っていますか?「そりゃあ、病院に決まってるでしょ!」と思っていませんか?そんな時代は、もう終わりですよ。
そもそも私たち日本人は、いつから病院で死ぬ事が「当たり前」になったのでしょうか?
考えてみれば、ずっと昔から、家で死ぬのが当たり前でしたよね。
その場所が病院の方が多くなったのは昭和50年。
そして平成20年頃にはその割合が85%以上になったのです。
病院で死ぬというのは、最近のことなのですね。
二人に一人が「病院で死ねない」時代に。
では、これからも私たちは、病院で死ねるのでしょうか?答えはNO!です。
2030年には、年間死者数が160万人を超えるのに対して、病院のベッドで対応できるのは80数万人。
実に、2人に1人は「病院で死ねない」時代が、もう目の前なのです。
おそらく多くの皆様にとって、驚きの数値だと思います。
いったい、なぜそんなことになっているのでしょうか?
少子高齢化で、病床数の限界が。
病院が足りないのであれば、もっと増やせばいいとは思いませんか?実際に、病院を開業したいと思っているお医者様は、多くいます。
しかし、現在は新たな有床病院の新設や、既存病院の増床は、基本的には認められていません。なぜでしょうか?
理由は大きく2つ。「少子高齢化」と「社会保障費の増大」です。
日本社会は今後ますます、少子化と高齢化が進んでいきます。
いま病院を増やすと、その先には人口減少に伴って、病院が多すぎる問題が起きるのです。
それと社会保障費を抑制していく必要があり、これ以上医療費の支出を増やせないのです。
一説には、病院での看取りと、在宅や介護施設での看取り、費用は5〜10倍の違いがあるとも言われています。
そもそも、病院で死ぬ必要はあるのか?
このことは、よく考える必要があります。
急な病気や怪我の場合、誰もが病院に行くことでしょう。
同じように最期を迎える時、痛みや苦しみが伴えば、当然病院で対応します。
ただ、シニアが天寿を全うするように、静かで穏やかな最期を迎えようとしている時、病院に入院する必要は、必ずしも感じない場合も多いものです。
私たちは昔から、そんな時は自宅で看取ってきました。
これからも、それは大切なのかもしれません。
何よりも、看取られるご本人が、住み慣れた場所で、親しい人たちに看取られることを望む場合が多いものです。
自分らしい豊かな最期を迎える時代に。
このように考えると、「病院で死ねない時代」は、必ずしもピンチではなく、チャンスでもあるのではないでしょうか?
どこで、誰と、どのように最期を迎えるのか?自分たちで考え、実践する時代だと言えます。
医療や介護の現場では、「死」を考えたり話題にすることは、タブー視されてきました。
しかし、死を見つめる事は、最期まで「どう生き切るか」を考える、とても前向きで重要な事だと思うのです。
そして現実に、それを支える様々な制度や仕組み、サービスが出現してきているのです。
「豊かな最期」を迎える事ができる時代になってきているのです。
まとめ
今回は第1弾として、2人に1人が病院で死ねない時代を、前向きに捉える事からはじめました。
次回以降は具体的に、どのような制度やサービスがあるのかをご紹介して行きます。
そして、医療や介護の現場で起きている変化も、ご紹介して行きたいと思います。