川畑誠志の介護・障害経営戦略⑦
~コロナ禍にこそチャンスあり!飛躍への転換点~

幸せのイメージ

新型コロナウイルスの猛威が訪れてから間も無く2年。たった1つ、目にも見えないウイルスによって、私たちの社会秩序のあり方は根底から覆された。

200年に1度訪れると言われるこの大転換点を、私たちはどう捉え、どう対策し、いかに乗り越えるか?

出来事という事実は1つであっても、それをどう理解するかは千差万別。先を見据えた前向きな対策を打てるかどうかで、私たちの将来は大きく変わる。

今回はこの困難な大転換の時を、敢えて前向きに捉え、将来を切り開くためのヒントを探し、変化を進化と理解し、前向きに発信してみたい。

閉塞感も、ワクワク感も、全ては自分が作り出すものであるのだから。

地域住民は、私たちを見ている!

私たちが行う医療・福祉事業は、コロナ禍で存在価値が再評価され、社会資源としての重要性が増し、注目される存在になった。

一般の職場や知人との会話の中で、医療機関のコロナ対策の様子が会話されることが多い。また家族を介護する人は、介護施設のコロナ対応について、身近な人と世間話しや情報交換をしている。

私たちが事業所の中で日々意思決定し実行しているコロナ対策は、いま地域住民から注目されている。そしてその対策が適切か?さらには顧客思考で努力しているか?を敏感に感じ取り、その噂話が広がっている。

いま私たちのコロナ対策は、そのまま事業所の評価となり、今後も長期間にわたって、自社の業績を大きく左右するであろうことは、想像に難くない。この困難な状況の中でこそ、私たちの真意が透けて見えるのである。地域に必要とされる社会資源として、顧客視点での意思決定と運営努力、そして説明責任が必要だ。

人材採用の成功事例が続々!

いま、サービス業を中心に幅広い業種で雇用不安が広がっている。非正規職員などを中心に、先の見えない不安を抱える人が非常に多い。

それに対して医療福祉業界は、まだまだ人材不足。社会全体で見て、大いなるミスマッチ状態だ。その原因は、私たちの業界で働くには資格や経験が絶対条件だと思われ、再就職先の候補に入っていない事が多い。

いま雇用不安を抱えている人の中には、サービス業の経験が豊富で、ホスピタリティ精神に溢れる人材も多い。また他業種からの転職者は、福祉の職場に良い刺激を与えてくれる。さらにいうと、福祉の資格を持ちながら他業種に転職した人で、いま不安定な雇用状況になっている人も少なくない。

今こそ私たちは、人材採用戦略に工夫が必要な時だ。求人の表現の仕方、求める人物像、将来像など、わかりやすく表現する必要がある。それと勤務条件の見直しなど、就職しやすい環境を整える努力も必要だ。

例えば、他社勤務中の副業や元経験者に向けた、夜勤専従や週末専従の募集。最近この採用実績が非常に高い。夜勤と週末を補充できると、常勤職員のシフト組みは非常に安定する。短時間パートさんを複数採用するよりも、効果は大きい。

またデイサービスや特養ユニットへ、無資格未経験者の採用。これも冷静に考えれば、外国人材を雇用するよりも育成は容易だ。資格取得支援もセットにして募集すれば、今なら応募は多い。

また他業種の営業経験者を、顧客開拓担当として雇用したり、IT分野に強い人を採用するなど、今だからこそのチャンスは多く、成功事例が続出中だ。

コロナ廃業を福祉が再生!街に灯りを

東北地方のとある都市。コロナ禍で街のシンボルであるホテルが廃業した。中心市街地で商売をする人たちが、とても残念がる声が聞こえた。私はその街で一番大規模な社会福祉法人の理事長に伝えた。「街のシンボルに再び灯りをつけれる人は、理事長しかいませんよ。」理事長はホテルを買取り、医療・介護・障がいの複合的な支援拠点に再整備し、この秋オープンを迎える。市街地の人たちから、数え切れないほどの感謝の言葉が、理事長の元に届いている。

いま様々な店舗や事業所が休業や廃業を余儀なくされている。それを再活用し、地域住民のお役に立つ事業こそが、私たちの業界だ。人材不安を克服し、次世代戦略を描き、将来に向けて種を蒔く事が必要な時だと感じる。

今こそ!人材育成の仕組みづくり

コロナ禍で、定例的な会議や人材育成の研修が止まっている事業所が多くなっている。人が集まれないので仕方ない面はあるが、その状態が長く続いては、チームワークの悪化や、不満の蓄積を生む。また継続的な人材育成ができていない事業所は、総じて離職率が高いという現実もある。

集合研修ができなくても、動画による個別研修は可能だ。非常に優れた仕組みを持つ動画研修システムが増えている。数千本の動画を蓄積していたり、職員個別の視聴履歴やレポートを管理できたり、資格取得支援の内容まである。非常に安価で、導入しやすい仕組みも多くなった。個別に自分のスケジュールに合わせて研修受講できるメリットもある。

この個別研修とリモートミーティングを組み合わせることで、人材育成と定期ミーティングの継続ができる。日々忙しい中にあっても、チーム運営の質を高める上で、欠かせない取り組みであるので、効率的で確実な実施の工夫を積み重ねていきたい。

断然効率的に!顧客開拓の営業戦術

顧客開拓営業は、関係機関への直接訪問が制限され、難しく感じている場合が多い。実際に業績低迷の傾向になっている事業所も増えている。

当たり前だが、コロナ禍で要介護者が減っているわけではなく、利用控えも限定的。どちらかというと、当事者やそのご家族も、利用先を選ぶ事ができずに困っている場合が多い。特に施設入所の場合は、家族も施設見学をしたいが、親元に帰れない。帰れても見学目的で施設に入れない。

ではこのミスマッチをどう解決するか?私の成功事例は、動画によるPRと、リモート面談の組み合わせだ。

施設紹介は、紙媒体ではなく、動画に切り替える。施設内部の映像、日々の活動の様子、スタッフや役職者の話しなど、普段は施設見学で見聞きできていた事項について、短時間の動画を複数作成する。映像や編集は、質の高いものである必要はなく、職員が手作りでやれるレベルで充分だ。

その動画保存先のURLをQRコードにし、紙に印刷して配布する。この紙を見た人は、興味を持って動画閲覧してくれる率が非常に高い。家族も、動かずして施設見学できる。そして興味を持てば、リモート面談を進めていけば良い。

施設選びの方法もコロナ禍で変容しているのだから、私たちが進化する以外に、進む道はないのだと思う。

まとめ

コロナ禍において、私たちの事業環境は急激に変化してきた。しかもこの変化は一時的でなく、これからずっと続く「進化」である。私たちはこの機会を前向きに捉え、挑戦していく姿勢が欠かせない。

人材獲得、人材育成、顧客獲得、情報発信、次世代サービス構築、など様々な面で、既に取り組んで成果を上げ始めている事例は多い。いま現在進行形で、優勝劣敗が進んでいるわけで、この積み重ねの差は、コロナショックが落ち着いた後で振り返ると、もう取り返しがつかない大きな差になっている可能性が高いわけである。

そして今は、これらの取り組みを進める上で、活用できる補助金・助成金の制度が数多く存在している。

今こそチャンス。今こそ変化の時。そう信じて進むしかないのではないかと感じている。

川畑 誠志

日本福祉大学社会福祉学部卒業。社会福祉士。 20代から飲食チェーンの会社に勤務。35歳を機に福祉事業での起業を目指して、介護の現場に従事。新規社会福祉法人の設立に参画し理事に就任。特別養護老人ホームなど5事業所の統括施設長として新規開設に携わる。地域で頑張る小さな介護事業所を支えたいとの思いから独立開業。福祉事業コンサルとして、支援を続けている。 http://kurashi-lab.co.jp/

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