誰もが知っておきたいグリーフケア

グリーフを抱える人(対象者)へどう接することが好ましいか、知っていますか?

グリーフの概念は生きる人全員が知っている必要があります。

なぜなら、人は100%亡くなるからです。

お年寄りと接する介護職の方には特に求められるスキルではないでしょうか。

現在、グリーフケアを行っている病院は少なく、保険外のカウンセリングになる、民間の協会でグリーフケアを行う場の方が多いです。
自費になるため、特定のカウンセラーができるだけでなく、周りの人たちで支えるのがベストです。

グリーフ(=Grief)とは

「悲嘆」と訳され、大切な人を失ったときに生まれる、自然な心の動きです。

この心を支えることを「グリーフケア」といいます。

悲しみを奪う権利は誰にもない

私たちは、つい悲しみを癒してあげたい、立ち直って欲しいと、思います。

もちろんその人を思ってのことです。

しかし、対象者にとってはそれが、プレッシャーになる場合があります。

励ましてくれている人のために、早く元気にならないと!と焦っていることがあります。すると、次第に素直に悲しむことができなり、自分の気持ちに蓋をします。

悲しみから抜け出すためには、「十分悲しむこと」が大切なのです。周りのことを気にし、元気なフリをしている方もいます。

フリを始めると元気になったと思うかもしれません。

しかし実際はどうでしょうか。フリをしてしまえば、対象者は、本当の気持ちを話すことができなくなり、元気にはなりません。

グリーフケアの方法を間違ってしまえば逆効果です。

では、どうすべきなのかを説明します。

悲嘆の段階ごとに、接し方を変えることが大切

①現実に目が向かない

人が亡くなってすぐは忙しく、自分の感情に目を向ける時間がありません。
このとき周りから見ると、あまり悲しんでいないのか、すでに乗り越えたのか、と思いますが、実際は本人も自分の感情に気がついていないのです。

 

②信じられない・認められない

忙しさが落ち着いてくると自分の感情に気づき始めます。
周りから見ると、「急に元気がなくなった、何があったのだろう」と心配になることがあるかもしれません。
しかし、グリーフを抱える本人も、ようやく自分の気持と向き合う時間ができ、様々な感情が起こってくる時期です。

 

③後悔

この後悔は、自責感や罪悪感も含まれることがあります。
「私のせいで・・・」「私も死んでしまいたい」と口にすることがあるかもしれません。

死んでしまいたいくらい悲しい、死にたいと思うほど、後悔していることが思い起こされる時期です。
このときに、「なんてこと言うの!」などと、言っていませんか?心配で、強い口調になってしまうこともあると思います。

ですが、否定はしないで、死にたいと口にするほど悲しい、悔しい、様々な感情を受け入れて、気持ちに耳を傾けてください。

 

④怒り

この怒りは、亡くなった相手、自分、周りのなどに向けられます。

自分を置いて逝ったことへの怒り、自責感から自分に怒りを向ける、病院や誰かに怒りを向けることがあります。
「亡くなったのは、誰のせいでもない」と説得したくなるかもしれませんが、このときも話を聴いてください。

 

⑤取り引き

亡くなった人を返して欲しいと願います。
何かと引き換えに返してもらえるように願うのです。
この段階は、自分の中で繰り返しているので、周りの人には見えないかもしれません。

 

⑥無気力

不眠・食欲不振など、何も手につかない状態になります。
周りから見ると、この段階にいるときが最も心配になるでしょう。
欝々としているのは、異常なことではありません。
自然な心の動きだということを理解して、無理に元気づけたりする必要もありません。
特に、うつ病だと思わないようにしてください。

 

⑦現実に目が向く

この段階で、少しずつ死を受け入れます。
この心の変化が悲しみから抜け出す兆しです。
このタイミングに周りの人が気づいて、適切な言葉をかけることができれば、グリーフを抱える方にとっては一歩踏み出すきっかけになります。

 

⑧新しい関係のはじまり

死を受け入ると、「新しい関係」がはじまります。
いつも見守ってくれる存在や、心の中にいる存在と思えるようになります。

このような思いを話すようになったら、悲しみから抜け出し始めているはずです。
しかし、100%元気になるにはまだまだ時間がかかります。

この段階になってからも、急に気分が落ち込むこともあるので、その後も気持ちを聴いてあげる時間が必要です。

 

対象者がどの段階にいるのかを知ることが、接し方のヒントになります。

まとめ

◆グリーフは自然な心の動きであり、うつ病ではありません。グリーフであるにもかかわらず、うつ病の治療を始めることに気を付けてください。

 

◆悲しむ権利を奪うことはできません。話を聴いて、その人のグリーフにただ寄り添ってください。

 

◆悲嘆の段階を知ることで、接し方がわかりやすくなります。

安諸 あや

安諸あや(やすもろ あや) グリーフケアカウンセラー 27歳のとき、夫と死別。その当時、カウンセリングを受けるが合わず、より深いグリーフ抱える。これがきっかけでカウンセラーを目指す。 支えてくれている周囲の存在に気づき、悲しみから抜け出した経験から、 「死別は悲しいだけではない、その後の人生を素敵なものにする出来事だ」と、起こった事実を良い方向に捉えるカウンセリングをしている。 ホームページ:http://aya-cocorocare.com/ Facebookグループ・死別から抜け出す日:https://www.facebook.com/griefcare.aya/

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