子ども食堂が果たすべき役割と児童虐待の実態について

児童虐待」という言葉をニュースで最近よく聞くことがありますが、いったい「児童虐待」とはどのようなことを指すのでしょうか?

今回は、「児童虐待の実態」と「児童虐待を防止するための方策」について、前回とりあげた「子ども食堂」と絡めて述べたいと思います。

児童虐待の定義とは

「児童虐待」は、子どもに意図的・故意に身体的苦痛や心理的苦痛などを与える行為を指し、以下のように4種類に分類されます。

<身体的虐待>

殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など

<性的虐待>

子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など

<ネグレクト>

家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

<心理的虐待>

言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など

※「厚生労働省ホームページより引用」

児童虐待の現状について

2017年8月の厚生労働省の発表によると、全国の児童相談所が2016年度に対応した児童虐待の件数は前年度比18.7%増の12万2578件(速報値)で、過去最多を更新したことが明らかになりました。

この数字は、1990年度の集計開始以降、26年連続増加しています。
その中でも一番多い種類は、「心理的虐待」で、とりわけ配偶者に子どもの前で暴力を振るう「面前DV(ドメスティック・バイオレンス)」が急増しています。

虐待の数が年々増加している背景としては、国民の虐待に対する意識が高まったことに加え、2016年4月の警察庁の通知を踏まえ、警察が児童相談所への通報を徹底したことなどが考えられています。

児童相談所全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」

「児童虐待の防止等に関する法律」によると、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所または児童委員を介して「通告」しなければならないとしており、通告義務が謳われています。

虐待通告をする際に知っておきたい番号として、児童相談所全国共通ダイヤル189(いちはやく)というものがあります。当初このダイヤルが作られた際には、音声ガイダンスが長いなどの問題がありましたが、先般、この音声ガイダンスを短縮するなどの改善が図られました。

さらに最近では、無料対話アプリ(LINE)などの交流サイトSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使って、虐待の通報を受け付ける仕組みづくりの検討を厚生労働省が始めたとの報道もあります。

現状では虐待を受けた子ども本人から虐待通報するケースは、全体のたった1%程度にとどまっており、LINEを使っての通報は、子ども自ら手軽に通報できるというメリットがあり、活用が期待されています。

子ども食堂が果たす役割

前回のコラムで「子ども食堂」について書きましたが、とても大きな反響がありました。
今回は、児童虐待の拡大を防止するために「子ども食堂」が果たす役割について述べたいと思います。

前回のコラムでも書きましたが、「子ども食堂」は単に食事を提供するという役割のみならず、「居場所」という大変重要な役割があります。

例えば、母子世帯などのひとり親世帯においては、親自身に肉体的・精神的余裕がない場合が特に多いと思います。
そのような状況が長期間続くと、子どもに対してのイライラ感が増し、つい手を上げてしまうこともあるでしょう。

このような場合に、「子ども食堂」を親子で利用できることができれば、夕食の準備などの家事の時間を省略することができ、子どもとの会話も増えるのではないでしょうか?
また、子ども食堂に集まっている他のシングルマザーや子育て経験のある高齢者と会話することにより、子育ての悩みやストレスの解消が期待できます。

まとめ

以上のように、年々児童虐待は増え続けており、児童養護施設などへ入所する子どもたちの大半が虐待を受けた経験があるともいわれています。

少しでもそのようなことを防ぐために「子ども食堂」を各小学校区に設置し、地域住民同士顔の見える関係また気軽に相談できる関係の構築が必要ではないでしょうか?

中田 雅章

中田社会福祉士事務所 所長 日本福祉大学社会福祉学部卒業後、介護老人保健施設で支援相談員として勤務後、2012年 4月に中田社会福祉士事務所開設。主にスクールソーシャルワーカー・介護認定審査会委員・ 成年後見人・大学、専門学校非常勤講師・介護福祉士実務者研修講師として活動している。

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