要介護認定(要支援認定)を受ける際のコツ

デイサービス(通所介護)やホームヘルパー(訪問介護)などの介護保険サービスを利用するためには、要介護認定(要支援認定)の申請が必要となります。

今回は、介護認定審査会委員の立場(筆者は2つの自治体の介護認定審査会委員)から、要介護認定(要支援認定)をより正確に受けるためのコツについて述べたいと思います。

要介護認定(要支援認定)とは

介護保険制度では、認知症や寝たきりなどで介護が必要な状態となった場合(要介護状態)や、日常生活場面において支援が必要になった場合(要介護状態)に介護保険サービスを受けることができます。

しかしサービスの利用にあたっては、どの程度介護(支援)が必要なのかを判定する要介護認定(要支援認定)を受ける必要があります。

要介護認定(要支援認定)の流れとは

認定を受ける場合には、まず介護保険の保険者である市町村(もしくは特別区)に認定の申請を行うことが必要です。市町村(もしくは特別区)が申請を受理すると、認定調査員により訪問調査を受ける必要があります。

訪問調査は、本人が自宅にいる場合には自宅に、入院している場合には入院先に調査員が来て行います。
その際、調査票の項目に沿って認定調査員が該当する番号をチェックする「基本調査」と、認定調査員が具体的な状況を文書で記述する「特記事項」とにわかれます。

また、訪問調査と並行して市町村(もしくは特別区)は、主治医意見書の作成の依頼を本人の主治医に行い記入してもらいます

次に、訪問調査の際にチェックした「基本調査」と「主治医意見書の一部」をコンピュータによる判定にかけ、一次審査を行います。

さらに、「コンピュータによる一次判定の結果」と「主治医の意見書」と「特記事項」をもとに、保健・医療・福祉の専門家が集まって審査判定を行う「介護認定審査会(市町村に設置)」による二次判定が行われ、最終的に介護度が決定されることになります。
なお、介護度は、「要支援1・2」と「要介護1~5」の7段階で構成されています。

ここで気を付けなければならないのは、介護度は「見た目の状態」ではないということです。
つまり、「車いすだから要介護3」だとか「寝たきりだから要介護5」ということではありません。
介護度は、あくまでも「介護に要する手間や時間の程度」によって決定されます。

 

介護認定審査会では何が行われているのか?

では次に、介護認定審査会ではどのように審査・判定が行われているのかについて述べたいと思います。

介護認定審査会では、「コンピュータがはじき出した一次判定の結果」と「主治医の意見書」、「特記事項」をもとに、人の手によって審査判定が行われ、介護度が最終決定されます。

審査判定の結果、コンピュータがはじき出した一次判定結果通りに二次判定が確定する場合も多くありますが、一次判定結果を二次判定で覆す場合も当然あります。

具体的には、「一次判定以上に介護に要する手間や時間がかかる」と判断される場合にはより重度に変更され、逆に「一次判定ほど介護に要する手間や時間がかからない」と判断される場合にはより軽度に変更されます。

ただし、一次判定結果を二次判定で覆すためには、「根拠となる文言」が必要となります。
根拠となる文言は、「主治医意見書」もしくは「特記事項」のいずれかに記載されていなければなりません。

逆に言えば、「主治医意見書」や「特記事項」にそのような記載がなければ、いくら介護認定審査会委員が「重度(軽度)変更の必要がある」と感じても容易に変更することはできないのです。

正確に状況を反映した要介護認定(要支援認定)を行うために

では、どうすれば正確に状況を反映した要介護認定(要支援認定)を行うことができるかについて、述べたいと思います。
筆者が提案する対策は以下の2つとなります。

 

①要介護認定(要支援認定)をする際に主治医へ介護に関する状況を詳細に伝える。

主治医は、診察室での本人の様子からしか状況を理解することはできません。
したがって、例えば「在宅介護を行ううえで、特にどのような点に手間がかかるのか」などについてしっかり事前に主治医に伝えておく必要があります。

また合わせて、要介護認定(要支援認定)を行う旨も伝えておき、主治医意見書の依頼が市町村(もしくは特別区)から近日中にある旨も予告しておくと良いでしょう。

主事意見書にもチェックする項目だけでなく、自由記述欄が設けられていますので、医療に関する状況だけではなく、介護に関する手間等についてもぜひ正確に記入してもらいましょう。

 

②訪問調査時に家族等が必ず立ち会いをする。

先にも述べたように、訪問調査時には「特記事項」という項目があります。
これは、訪問調査員が自由記述することができる項目のことです。

特記事項に具体的にどのような内容を記入するかというと、例えば、基本調査の「歩行」に関する項目は

「(1.つかまらないでできる 2.何かにつかまればできる 3.できない)」となっています。

ここで、普通にスタスタ歩ける方は、当然「1.つかまらないでできる」にチェックがつきますが、パーキンソン病などにより多少のふらつきがあって小刻み歩行でゆっくり歩いている方の場合もつかまらないで歩行できている場合には、同じ「1.つかまらないでできる」にチェックがついてしまいます。

基本調査はコンピュータにより判定されるわけですので、両者は同程度のものとして処理されてしまいます。
それを防止するために、「特記事項」があります。

この場合、特記事項には、例えば「つかまらないで歩行できるが、パーキンソン病があり、小刻み歩行でゆっくりあるいており、転倒の危険性が高い」などと訪問調査員は記入することができます。

このような記載があると、介護認定審査会においても変更の根拠として利用することができます。
したがって、訪問調査を受ける場合には、家族(家族が無理であればケアマネジャーか本人のことをよく知っているサービス事業所のスタッフ等)に立ち会ってもらい、訪問調査員にしっかりと手間のかかる程度について伝えてもらうことが有効です。

まとめ

以上のような仕組みをご理解いただき、ぜひ正確な認定をしてもらえるよう今回提案したことを実行してみてください。
介護度によって利用できる(保険が使える)範囲が大きく変わってきます。

実際よりも軽く判定されてしまうと、もっとサービスを利用したくてもできなくなってしまい、場合によっては保険が適用されず実費負担を強いられることもあります。ぜひお試しください。

 

中田 雅章

中田社会福祉士事務所 所長 日本福祉大学社会福祉学部卒業後、介護老人保健施設で支援相談員として勤務後、2012年 4月に中田社会福祉士事務所開設。主にスクールソーシャルワーカー・介護認定審査会委員・ 成年後見人・大学、専門学校非常勤講師・介護福祉士実務者研修講師として活動している。

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