「○○さんて素敵ですね」と言われた時
「いやいや、自分なんか、とんでもないことです」と言ってしまう事はないでしょうか?
自分では相手と良いコミュニケーションがとれる【謙虚】のつもりだったかもしれませんが、実はこの表現は相手の言葉を跳ね返してしまう可能性がある【謙遜】だということをご存知でしたか?
謙遜と謙虚の違いがわかると、話し相手と今まで以上に良いコミュニケーションがとれるようになります。
今回は謙遜と謙虚の違いに注目して、この似ているようで全然違う2つの表現について、少しひも解いてみたいと思います。
謙遜とは?相手の言葉を跳ね返すこと?
謙遜とは自分の能力や価値などを下げて評価する行為です。
謙遜することで相手の言葉を跳ね返すことがある
「可愛いね」「カッコいいね」と褒められて「いやいや、とんでもないです」というやりとりをよく目撃します。
これは謙遜することで相手の言葉を跳ね返すことがある例で、控え目のつもりで言ったのかもしれませんが、言われた相手は意外に不快に感じる場合があります。
なぜなら「可愛いや」「カッコいい」などは発信する側が感じた感性の言葉だからです。
したがって「いやいや」と言われると相手は自分が感じたことを否定されたという体験をしてしまうのです。
言われた側としては照れくささや控えめな気持を表現した対応だったとしても、知らず知らずに相手の心を閉ざしてしまっている危険性があるのです。
謙遜とは自分の能力や価値などを下げて評価する行為です。
謙遜することで相手の想いを受け取りませんという表現になってしまっていますので、これではコミュニケーションは上手くいかない可能性があります。
嫌な気分にさせないためにはどうしたら良いか
せっかく相手が自分を褒めてくれているのに、謙遜していてはかえって相手を嫌な気分にさせてしまう可能性があります。
コミュニケーションは伝える側と、受け取る側の2人の共同作業です。
では、相手が自分を褒めてくれた言葉を上手に受け取り、良いコミュニケーションをとる為には何が必要なのでしょうか?
それは「謙虚」です。
謙虚とは?そのまま気持ちを受け入れる取ること?
では謙虚さを伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。
自分が謙虚に対応した場合の謙虚とは?
先ほどと同じく「可愛いね」「カッコいいね」と言われたら、まずそのまま自分を褒めてくれた相手の気持ちを受け入れ「ありがとうございます。」という感謝の気持ちをつたえましょう。
自分が謙虚に対応した場合の謙虚とはそのまま気持ちを受け入れることです。
さらに「嬉しいです。その言葉を励みにこれからも可愛く(カッコよく)いられるように、ますます精進してまいります。」とここまで言えるとベストです。
大切なのは、自分が感じたことを素直に伝えてくれたことに対する、感謝の気持ちを表すことです。
謙虚な気持ちを表現すると相手にどのような気持ちを与えるのか
感謝の気持を表すことで、相手を肯定することにもなります。
そうすればお互いに心地よさを感じられるのではないかと思います。
そのままを受け入れることのできる器(承認)、素直さがとても重要です。
人が自分に対してメッセージを送ってくれるということは、当たり前のことではありません。
特別なことなのです。
自分が暖かく穏やかで優しい人間関係を求めるならば、相手が伝えてくれた時は感謝の想いを込めて「ありがとう」を伝えるように心がけましょう。
謙遜と謙虚の違いについて
謙遜と謙虚について紹介してきましたが、謙遜と謙虚の違いはどこにあるのでしょうか。
謙遜と謙虚の違いとは?
謙遜とは自分の能力や価値などを下げて評価する行為であり、謙虚とは相手の気持ちをそのまま受け入れる行為です。
自分の能力や価値などを下げるわけではありません。
謙遜と謙虚の違いは、自分の能力や価値などを下げるか、下げないかという点です。
どう使い分けるべきか
謙遜と謙虚の違いを理解することで、良好なコミュニケーションを上手にとるために日常生活やビジネスでの会話のシーンでどう使い分けるべきかかがわかってきます。
相手を立てる必要があるシーンでは、自分の能力や価値などを下げる謙遜が向いています。
一方、相手が自分を褒めてくれた場合などは、相手が認めた自分の能力や価値などを下げることなくそのまま受け入れる謙虚が向いています。
自分が伝える側だったときは?自分が相手に謙遜と謙虚を使われる側になった場合どう対応するべき
謙遜と謙虚の違いを理解しておくと、自分が相手に謙遜と謙虚を使われる側になった場合に、たとえ相手が自分の褒め言葉に対して謙遜した言葉で答えてきても、嫌な気持になることがなくなり、相手との関係を悪化させる可能性もなくなります。
相手からの言葉に謙遜で返すべきか謙虚でかえすべきか
日常会話の中で、瞬時に相手からの言葉に謙遜で返すべきか謙虚でかえすべきかを判断するのは、違いを理解していないと難しいものです。
自分が伝える側の場合でも、伝え方にちょっとした気遣いをするのもコミュニケーションを良くするひとつの方法です。
相手と良いコミュニケーションを取れるようにするには
自分が伝える側で相手に謙遜で返されてしまう時もあると思います。
では、そんな時はどうしたらよいのでしょうか。
例えば「可愛いね」と伝えたとしましょう。
そうしたら、少し掘り下げて自分がどういったところが可愛いと感じたのかを伝えてみてください。
「あなたが可愛い」といったように決めつけている様に感じてしまって、なかなか受け取れない場合があるからです。
ですから、あくまでも「私がそう感じました。」と言い方を変えてみると受け取りやすくなると思います。
前回のテーマの怒りにもつながりますが、「なに怒っているの?」と聞くと「怒っていない!」と返って来る事が多いです。
これも「あなたは怒っている」という決めつけを感じさせてしまいますので、理解してもらえない寂しさや悲しさから相手は反発します。
そこで「怒っているように私には見えるけど、何かあった?」と聞くと、全く違った反応が返ってくると思います。
ちょっとしたことなのですが、コミュニケーションにおいてはこの《ちょっとしたこと》がとても重要なポイントになってきます。
まとめ
◆【謙虚】とはそのままを受け取ることで、【謙遜】とは相手の好意さえも跳ね返してしまう可能性がある行為です。
◆コミュニケーションとは伝える側と受け取る側の2人の共同作業です。
◆良好な人間関係を求めるなら、まず自ら素直に感謝の気持ちを込めて、目の前の人に「ありがとう」を伝えましょう。