笑う門にはいい介護 ~これぞ!在宅介護者の心意気!~

在宅介護のイメージ

介護の話がマスコミで扱われる時、どうしても暗くなる。

介護の明るい側面をテレビで取り上げてほしいとの願いから企画した快GOツアー(介護旅行)。

その中で生まれた出会いと奇跡についてお話します。

私と宮根誠司氏と平田進也氏で実施した快GOツアー(介護旅行)

9年前になります。

私と宮根誠司(同級生・拙著「笑う門にはいい介護」の推薦帯も書いてくれました)カリスマ添乗員の平田進也さんの3人で大阪で焼肉を食べていました。

その時、私が言いました。

「介護の話がマスコミで扱われる時、どうしても暗くなる。介護の明るい側面をテレビで取り上げてほしい。例えば、介護でおじいさんが元気になったとか…」

すると、話は大きくなり、宮根誠司から

「じゃ、介護のプロと旅行のプロがいるんだから介護の旅行をやってみたら」

話はトントンと進み、とにかくやってみる事に。結果、中京テレビさんがドキュメントで取材をされること。

参加され奇跡が起きた67歳の川瀬さん!

募集は日本旅行さんが募ります。結果3組がエントリーいただきました。

その中に脳出血で半身マヒになった川瀬さん(当時67歳男性)がおられました。

もともと旅行好きだった川瀬さん。半身マヒになられてから旅行はもちろん外出もしなくなった方です。自分でベッドから起き上がる事も、一人で立つこともできません。

しかし、なんとか奥さんが説得されエントリーされました。

 

コースは大阪から新幹線で広島へ、広島からバスで島根県浜田市を経由し島根県の中央にある私の地元、大田市へ。そこで温泉、世界遺産、埋没林、神楽、食事を堪能して頂く。

特に温泉、露天風呂は一番の楽しみ。半身マヒなので露天風呂はかなり難しいです。

 

結果、しっかり肩まで浸かって頂き、露天風呂をしっかり楽しんでいただきました。神楽も食事も日本海も砂浜まで行き、楽しんでいただきました。

 

旅程を終え、最後は広島駅新幹線ホーム。

そこでなんと今まで一人では立てなかった川瀬さんが車いすから立ち上がられました。

そして私に一言。

 

「今度はもっとよくなるから」

 

私も川瀬さんも泣きながら抱き合いました。

 

翌日、奥さんから電話。

「中村さん、主人が歩いてる。歩いてるの!」

それはとても驚いた声でした。奇跡が起きた瞬間です。

医師に自分で立つ事は無理と言われていました。諦めていたそうです。しかし、喜びの詰まった一泊二日の介護の旅行で歩けるようになったのです。私も興奮しました。

その後、川瀬さんは隠岐の島、佐賀、長崎、淡路島等いろいろなところへ行かれています。

その後のインダビューで聞いた奥さんの心意気!

昨年、大阪で久しぶりにお二人に再会しました。その時に奥さんにお聞きしました。

「川瀬さんは体が不自由になってから出不精になっておられた。もともと旅行にも参加したくなかった。なのに奥さん!一体どうやって説得されたんですか?」

奥さん「私が言ったのは、悪い事をして体が不自由になったわけじゃない。一生懸命、家族のために仕事を頑張ってきた。だから堂々としてよ。恥ずかしいことなんかどこにもない!って言ったら参加するって」

この奥さんの言葉。多くの方に聞いてほしい。 

体が不自由になっても恥ずかしくない!
悪い事をしたわけじゃない!
堂々と外に出る!
皆と同じように楽しむ!

 

在宅介護をされておられる皆様

川瀬さんといろいろ背景は違うと思いますが、介護の状態になられたのは悪い事をしてなったわけではないはずです。

どうですか!堂々と外に出て楽しめることを楽しむ!

これまでの人生にふさわしい喜びを得る!

喫茶店にもレストランにも居酒屋にも堂々と行こう!

 

堂々と外出する!

これぞ在宅介護の心意気!恥ずかしいことなど全くない!

日本福祉大学中退。元吉本興業芸人、在宅介護の地獄を経験後、介護の世界へ。デイサービス施設長時代に組織改革。就任1年2か月後に「日本一笑いのデイサービス」としてNHK始め計4回テレビ取材。著書:「笑う門にはいい介護」は宮根誠司の推薦本。現在、介護統括部長。全国で講演活動中。BSSラジオで介護情報発信中。介護福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級、介護アンガーマネジメントファシリテーター。

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