「子ども食堂」という言葉を最近よく聞きませんか?
介護の話からは少しずれますが、今回は「子ども食堂」とその可能性について考えてみたいと思います。
子ども食堂とは
子ども食堂」と聞いて皆さんは何を想像しますか?
「子どもが食べにくる食堂?」「子どもたちが運営している食堂?」などといったイメージがあると思います。
子ども食堂について簡単に説明すると、「主に貧困の家庭や、親の仕事の都合などで子ども一人で食事をするいわゆる孤食の子どもたちに、無料または低額で食事を提供する民間の取り組み」のことをいいます。
「子ども食堂」という名前が使われ始めたのは2012年頃とされており、現在全国300か所以上が運営されています。
子どもの貧困率
貧困の概念には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つがあります。
「絶対的貧困」は、人間として最低限の生活を営むことができないような状態を指し、食糧などが、ままならない状態といえます。
一方「相対的貧困」は、平均的な生活水準と比較して所得が著しく低い状態にあることを指し、OECD(経済協力開発機構)によると、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割ったもの)が全人口の中央値の半分未満の世帯のことです。
つまり、雑にいうと、「みんな普通に参加できている修学旅行に参加できなかったり、卒業アルバム代が払えなかったりする状態」のことです。
最新のデータによると、2015年の「子どもの貧困率」(17歳以下)は 13.9%となっており、実に7人に1人が貧困状態にあるとされています。
前回の調査よりもデータ的には若干改善されたものの、依然として貧困問題は改善されたとはいえません。特に、1人親世帯の相対的貧困率は50%以上ともいわれています。
貧困は「お金」だけの問題?
貧困は、「お金の問題」のみならず、さまざまな弊害を引き起こします。
例えば、お金がないと以下のような弊害を伴います。
・社交(人付き合い)が減る
⇒地域から孤立する
・親の仕事量が増える(2つ・3つ掛け持ち)
⇒親子の会話が減る、ゲーム依存
・自己肯定感の低下
⇒「どうせ俺は・・・」と自暴自棄になる
子ども食堂はご飯を食べさせるだけ?
さて、話を「子ども食堂」に戻しましょう。
「子ども食堂」と聞くと子どもにご飯を食べさせるだけ?と思ってしまいますが、実は「子ども食堂」には、「居場所」というもう一つの大変重要な役割があります。
最近は、三世代同居家族が激減し、核家族世帯(夫婦と未婚の子からなる世帯)が増えており、夫婦共働き世帯やひとり親世帯(大半が母子家庭)も増えています。
その影響もあり、子どもが学校から帰ってから親が帰宅するまでの時間を一人で過ごさざるを得ないことが増えています。
また、そのような子どもたちは、退屈しのぎに街に出て行き、犯罪に巻き込まれたり、逆に家に閉じこもってゲーム依存になったりする可能性も高くなってしまいます。
そこで、「子ども食堂」が近くにあれば、食事を食べさせてもらえて、親が帰宅するまでの間、地域のさまざま方と一緒に過ごすことができます。
例えばお年寄りが子どもの宿題をみてあげたり、遊びの相手をしてやることができるなど、子どもの孤独感の解消や地域住民同士の交流の場としての役割が期待できます。
また、先に述べた貧困がもたらす「地域からの孤立」も防止することが期待できます。
まとめ
以上のように、現代の子どもを取り巻く環境は年々悪化してきており、地域ぐるみで子どもを支えていく仕組みづくりが急務となっています。その起爆剤のひとつが、今回取り上げた「子ども食堂」ではないでしょうか?
みなさんの住んでいる近くには「子ども食堂」があるでしょうか?もしありましたら、一度覗かれてみてはいかがでしょうか?