成年後見の受任、居宅介護支援事業を主に運営してきた合同会社船井ソーシャルワークオフィス(香川県坂出市)は3月15日、同市内に「相談支援事業所 奏」を開設。
障害分野の相談支援事業が加わったことで、複雑なケースにも対応可能になった。
船井康雄代表に話を聞いた。
これまでの自身の経歴は
措置時代での特別養護老人ホームでの介護職を皮切りに、他社の施設設立に関わったり、行政の介護認定調査員を務めたりした後、ケアマネジャー、生活相談員等の経験を積みました。
認知症を抱えていたり、何か能力を失っていたりしていても、どこかに長年生きてきた証みたいなものが刻まれているんです。
それを時に見せつけられてハッとさせられることも多かった。
教えてもらうこと、学ぶことがとても多く、介護職の面白みを感じていました。
介護する、というより“させて頂いている”気持ちで仕事をしていました。
介護認定調査員を務めていたときには、片付けが全くされていない“ゴミ屋敷”のような自宅にも行きましたし、様々な家族の在り方にも触れ、“在宅”の重要性に気づかされました。
「奏」の経営理念に「ふつうのくらし」ができる地域づくりを目指すとありますが、ふつうのくらしとは
「福祉」という言葉には人を守る、安心、安全といった意味が含まれていますが、そういったソフトな概念だけではなく、日常生活のなかで「失敗する権利」もあると思うのです。
失敗や成功を重ねて社会生活も人生も成り立っている。それを成年後見制度に携わってきたなかで実感しました。
具体的には
集団生活をしていた知的障害をもつ男性から成年後見制度を利用して「一人暮らしをしたい」との相談がありました。
関係者とも話し合い、まずはワンルームマンションタイプのグループホームで生活してみてはということになり、体験入居したのですが、その環境に合わず、彼は一人暮らしを断念しました。
その後「ではビジネスホテルに宿泊してみてはどうか」というアイデアが関係者から生まれ実行したのです。
結果、ホテルに宿泊することができた。
一人暮らしに失敗したことで、ホテルに泊まるという機会を持つことができた。これはトライ&エラーの結果です。
後見人制度の活用で「選択肢」の幅が広がるのですね
後見人が入ることで本人だけでなくその家族の負担が軽くなるケースもありますし、制度の上手な利用により、生活の質を上げることができるのです。
障害のある子どもを持つ親が要介護状態になるケースも想定されますが、当事業所を利用してもらうことで様々な手続きがしやすくなります。
「ふつうのくらし」につながる制度や福祉サービスの活用を提案し、必要な「人」や「場所」への橋渡しもできれば。
福祉全般をカバーできる強みを活かし、地域貢献していきたいと考えています。